県道12号沿いにある菖蒲神社の境内には、埼玉県の天然記念物に指定されている藤があります。
それは、樹齢300年を超えるとも言われる見事な藤の木、通称「君万歳の藤」です。
今回は、菖蒲神社と歴史ある藤を紹介します。
菖蒲神社の情報
菖蒲神社の場所や菖蒲神社の歴史、藤の歴史や由来について紹介します。
基本情報
住所 | 埼玉県久喜市菖蒲町菖蒲552 |
アクセス | 白岡菖蒲インターから約3.8km、桶川加納インターから約6.5km |
社務所の開いている時間 | 9:00~16:30 |
駐車場 | 8台 |
各種リンク | Webサイト:http://shobu-jinja.com/ |
菖蒲神社の歴史
菖蒲神社の始まりは定かではありませんが、室町時代の康正2年(1456年)ごろ、領地を治めていた菖蒲城主・佐々木氏によって再建されたという説があります。
かつては「袋田明神社」と呼ばれ、主祭神は稲田姫命(イナダヒメノミコト)です。
「袋田明神社」の名の由来には、近隣の鷲宮神社や玉敷神社の祭神のお袋(母親)が、稲田姫命であるという説と、見沼代用水建設以前の旧河川の地形に由来するという説があります。
明治以降に現在の菖蒲神社へ改称され、1870年には村社となり、地域における重要な神社の地位を確立しました。
地域の鎮守として、長く人々に親しまれてきた由緒ある神社です。
花の名前の町は、桜に藤に大忙しですね!旧名「袋田明神社」。由来の一つの袋状の河川ですが、星川が袋状に曲がっていた跡があります。
— 菖蒲ゆめまち (@oideyo_shobu) April 19, 2025
菖蒲はかつて「宮宿」と呼ばれ、宮とはまさに菖蒲神社のこと。樹齢300年以上の藤は、幾度も花を咲かせながら、菖蒲を見守ってきたのですね… https://t.co/wjuZQeqsht pic.twitter.com/fkuYqAKFWD
菖蒲神社の「君万歳の藤」
菖蒲神社の藤は、昭和27年(1952年)に埼玉県の天然記念物に指定された、貴重な藤の木です。
樹齢は300年以上と推定され、根回りは約9メートル、幹回りは約150センチメートルに及びます。
この藤は、「ノダフジ」という園芸品種で、江戸時代に「吉野の桜」や「高尾の紅葉」と並び、「野田の藤」として名所の一つに数えられた大阪市福島区野田にちなみ、命名された歴史があります。
大正2年(1913年)に藤の下にあった池を埋め立てて広い藤棚を作ったことで樹勢が盛んになり、花房は最大で180センチメートルに達したと伝えられています。
そこで、大正天皇の御即位にちなみ「君万歳の藤」と名付けられました。
花の香りは遠く500メートル離れた菖蒲小学校にも届くほどだったと言われています。
現在も毎年春の花の見頃(4月下旬から5月上旬)には美しい花を咲かせ、多くの人々を楽しませています。
盛んだった樹勢は一時期衰えが見られたこともありましたが、土壌改良や日照条件改善など、樹勢回復のための手入れも行われています。
この藤は、地域の文化財としても重要で、毎年行われる「菖蒲藤祭」では、多くの参拝者がその美しさを鑑賞します。
参考サイト:久喜市 第19回 菖蒲神社のフジ
菖蒲神社の様子
ここからは菖蒲神社の境内の様子、埼玉県指定天然記念物の藤と、菖蒲藤祭を紹介します。
菖蒲神社の鳥居と社殿

菖蒲神社の入口に立つ鳥居。
石造りで、太いしめ縄と紙垂が印象的です。


鳥居をくぐり参道を進むと、左右には迫力のある狛犬が出迎えてくれます。
大正14年(1925年)に奉納されたもので、参拝者を見守るように鎮座しています。

鳥居をくぐり参道の先に現れるのが菖蒲神社の社殿です。
歴史が感じられる緑青色の屋根瓦と、木組みの落ち着いた色合いの社殿が、周囲の木々の緑に調和しています。

社殿の左手には、様々な神様をお祀りする境内社がずらりと並んでいます。
御祭神とどのような御利益があるのかが、看板に分かりやすく示されており参考になります。
菖蒲神社には、主祭神の稲田姫命のほかにも、多くの神様がいらっしゃるのですね。
菖蒲神社の藤

社殿の右手には、大きな藤棚が広がっています。
その面積は約238平方メートルにも及びます。

藤棚の下に入ると、花のいい香りに包まれます。
頭上からはミツバチたちが飛び交う賑やかな羽音が聞こえてきます。
足元には土壌改良のためか、一部に黒いシートが見られました。

こちらが菖蒲神社の藤の幹です。
複雑に絡み合い、ねじれた形状が樹齢300年以上という長い年月を感じさせます。
根回りは約9メートル、幹回りは150センチメートルにも及ぶとのこと。
このたくましい幹から藤棚いっぱいに枝が伸びています。

菖蒲神社の藤は、現在一部が開花し始めたところです。
今年(2025年)は、4月15日に開花が始まったとのこと。
淡い紫の花が少しづつ咲き始め、その間から見える社殿が、なんとも趣深いです。

藤棚の脇には、休憩にぴったりな東屋のような建屋が設けられています。
日差しや雨を避けながら、腰を下ろしてゆっくりと藤の花を眺めることができますね。
菖蒲藤祭

藤の花がもっとも美しく咲く頃、菖蒲藤祭が開催されます。
今年(2025年)は4月29日の昭和の日に開催されます。
祭では「無事身祈願祭」をはじめ、茶の湯体験、アコーディオンコンサート、迫力の神道無念流剣術奉納演武など、多くの催しが予定されています。
なお、菖蒲藤祭当日の駐車は、あやめ公園駐車場の利用がおすすめです。
参考リンク:YouTube ケーブルテレビ久喜「きゅーちゃんねる」菖蒲神社で「菖蒲藤祭」開催
最後に
埼玉県指定天然記念物の樹齢300年を超える菖蒲神社の藤は、長い歴史を感じられ、圧巻の存在です。
複雑に絡み合い、力強くねじれた幹から、広大な藤棚いっぱいに見事な花を咲かせます。
周辺には菖蒲運動公園、賀嶋珈琲など、立ち寄れるスポットもありますよ。
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